日経ものづくり

PQEマトリックスを使ったD-QMS

第3回
計画に照らし進捗の実績を定量化
PQEから対策の必要性を見極め

齊藤 之紀
アジレント・テクノロジー R&Dプロセスコンサルティング

成果物とその品質,および工数に注目することで,開発設計現場の設計品質マネジメントを強化する「PQEマトリックスを使ったD-QMS」。前回は,そうした3要素に注目し,いかに製品開発の計画を立てればよいかを解説してもらった。今回は,その計画に基づき開発の進捗を把握し,対策の必要性を見極めていく方法を解説してもらう。(本誌)

 多くの企業は,開発期間の短縮を開発工程のオーバーラップによって達成してきた。だが,その後も一層の期間短縮の必要性が叫ばれ,製品の複雑化も進んでいる。そのため,開発工程の節目で実施するデザインレビュー(DR)のみでは設計品質の確保が難しくなり,開発遅れや品質不具合の市場流出といった問題が増えている。
 PQEマトリックスを使うD-QMSでは,開発の過程で作成すべき中間成果物P(Product)に加え,達成すべき品質Q(Quality)と投入すべき工数E(Effort)を計画し追跡することで,開発効率と品質達成を両立させる。今回は,製品開発のPQEを追跡し,製品開発の進捗を管理する手法を述べる。
 同手法では,図のように「計画」「追跡」「見える化」「分析」「アクション」といった流れで進捗を管理する。計画については前回紹介したように,成果物・工数計画,品質計画,および技術課題達成計画(課題の解決方針や難易度,期限,見込み工数に関する計画)を作成。それらを基に,開発の進捗状況を追跡/定量化し,PQ(成果物と品質)とE(工数)の状態を統合したPQEマトリックスを作成することにより,進捗を見える化する。PQEマトリックスを使うと,対策が必要な個所とその必要度が明確になる。それにより,遅れを早期に発見し,問題要因を明らかにした上で対策を実施していくことが可能になる。

日経ものづくり 特報
図●PQEマトリックスを使うD-QMSの基本マネジメント・サイクル