日経オートモーティブ 解説

燃費改善や排ガスクリーン化の取り組みは、エンジン本体の改良と制御技術の進歩が両輪となる。しかし、ハードウエアを大幅に変更しなくても、センサを加えるといった制御側の工夫で、コストパフォーマンスの高い改善策を実現できるケースもある。実用化されている最新例と、将来の方向性を探った。

 自動車に新技術が採用されるまでには10年以上かかると言われる。これは、新技術がコスト、信頼性との戦いであるからだ。特にコストの要求は厳しい。かけた費用に対して効果が十分と認定されないと量産化には結びつかない。いったん採用されてもさらに安価な方法に置き換わる可能性もある。
 そうした厳しい自動車の採用環境の中で制御技術も磨かれてきた。燃費改善や排ガスのクリーン化にはエンジン本体の改良が不可欠だが、同じ効果を得るのにエンジンを変更するより、センサの追加で制御方式を改良した方が安価にできる場合もある。
 例えば、マツダが2006年6月に部分改良した「アクセラ」。1.5Lモデルの4AT(4速自動変速機)搭載車で、10・15モード燃費を17.4km/Lへと0.6km/L向上させたが、改善効果の半分以上はオルタネータとバッテリの充放電制御によるものだ。新たに追加したのはバッテリの電流センサだけ。それだけでも燃費改善効果は1.7%程度に上り、コストパフォーマンスが高い技術といえる(図)。

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図●充放電制御システムの構成
バッテリの放電量を計算するために電流センサを追加した。それ以外の構成は通常車と変わらないが、バッテリ電圧の変動幅が大きくなるのでワイパーの動作などの検証が必要。