EMSとは,電子機器の組み立てやプリント基板への部品実装を軸とした,モノづくりに関連するサービスを提供する企業のこと。類義語としてOEM(original equipment manufacturer)やODM(original design manufacturer)がある。それぞれの言葉の差異はあいまいだが,OEMは主要部品の選択権を与えられていない受託企業,ODMはそれを保有する企業を指すことが少なくない。EMSはOEMとODMの両方を指すことが多い。

 EMSという言葉は2000年ごろ日本でよく知られるようになった。国内電機メーカーの工場を,EMSが次々と買収したからだ。こうしたEMSは買収した工場に,元の保有者では難しかった大胆なリストラを施して採算性を向上させることが得意だった。買収・リストラ型EMSといえる。しかしその後,目の覚めるような躍進を果たしたのは,台湾系企業を中心とする異なるタイプのEMSである。