「Creative社が,この先行特許を獲得できたのは非常に幸運だった」。発表資料にあるSteve Jobs氏の発言からは,悔しさがにじみ出るようである。2006年8月26日,Jobs氏がCEOを務める米Apple Computer, Inc.とシンガポールCreative Technology, Ltd.は,特許関連の訴訟で和解した。Apple社の携帯型音楽プレーヤー「iPod」が,Creative社の特許を侵害するとして訴えられた件である。和解によりApple社は,特許のライセンス料としてCreative社に1億米ドルを支払う。Creative社は,Apple社の認証プログラム「Made for iPod」に参加し,iPodの周辺機器も販売する。

 Apple社がライセンスを受けた特許は,階層的なメニューを利用して楽曲を選ぶ方法に関するものである。米国特許番号は6,928,433で題名は「Automatic hierarchical categorization of music by metadata」。Creative社は,同社の製品名を冠して「Zen特許」と呼んでいる。合計で16のクレーム(請求項)がある。