Philips Electoronics社の事業部門であるHandshake SolutionsとARM社は,クロック信号を使わない非同期型デジタル回路技術に基づく32ビットCPUコア「ARM996HS」を共同で開発した。演算の実行に必要な回路だけが主に電力を消費する非同期型デジタル回路は,クロック信号を用いる同期型デジタル回路に比べて消費電力を大幅に低減できるといった特徴を持つ。設計には,Handshake Solutionsが構築した非同期型LSIの開発環境を利用した。同期型LSIのEDAツールと併用でき,標準セル・ライブラリを用いて非同期型デジタル回路を実装できる特徴を備える。非同期型デジタル回路の欠点とされてきた回路面積の増大という問題も克服した。この開発環境について,ARM996HSの特徴と併せて解説する。 (竹居 智久=本誌)

Arjan Bink
オランダRoyal Philips Electronics社 Handshake Solutions
Chief Design Engineer

Richard York
英ARM Ltd.
CPU Product Manager