開発に苦節10年を費やしたデジタルマップを搭載したカーナビを,1991年に実用化したホンダ。「目的地まで正確にクルマを到着させる」というカーナビに対する志向は,この当時から培われてきたものだった。その一方で,インターナビで目指した情報更新に対する思いも,このころ新たに開発を始めたカーナビにその片鱗を見ることができる。実はホンダは地図データが書き換え可能なHDDカーナビを,1996年に米国で実用化しているのだ。

 デジタルマップ・ナビを実用化した1992年,今井武は国内だけでなく,米国でもカーナビの需要が高まるとみて,米国向けカーナビの企画書を作り上げる。同年7月,現地法人であるAmerican Honda Motor社の幹部を前にカーナビの提案を行うが,結果は惨敗。「そんなおもちゃは米国では要らない」と一蹴されてしまう。