「今後5年間のターゲットは発展途上国に住む10億人の中間所得層だ」(米Intel Corp.,Emerging Markets Platforms Group, General ManagerのMark Beckford氏)。Intel社がこれまでマイクロプロセサの主な市場としてとらえてきたのは,10億人のユーザーがいる先進国だった。これからは,より幅広い地域に視野を広げることで市場を一気に拡大することを狙う。

 Intel社だけではない。ここ1~2年で,欧米のコンピュータ・メーカーやエレクトロニクス・メーカーが,発展途上国向けのパソコンや携帯電話機の開発・販売プロジェクトを次々に打ち出している。いずれも年収が5000米ドルにも満たない所得層が多いこれらの地域のユーザーに向け,機器を購入する際の敷居を下げるために大胆な価格の低減を実現する。

 発展途上国に向けたハイテク機器開発の象徴例が,元・米MIT Media Laboratory,co-founder and directorのNicholas Negroponte氏が率いる米国の非営利団体「OLPC(One Laptop per Child)」が開発する教育用のノート・パソコン「2B1」,通称「$100 Laptop」だ。2006年7月に実際に動作する試作機を初公開した。既存のノート・パソコンが最も安価なものでも600米ドル程度する中,性能や機能の割り切りとさまざまな新技術の組み合わせによってパソコン業界の常識を破る100米ドルの実現を目指す。