KDDI研究所は,4K×2Kの高精細映像をMPEG-2を用いてリアルタイム符号化するシステムを開発した。9台のCPUボードをクラスタ接続することで,ソフトウエア処理するのが特徴である。今回の開発したシステムはデジタル放送やブロードバンドを利用した動画コンテンツ配信サービスにおける,高品質な映像送出システムへの適用を想定している。H.264/MPEG-4 AVCやMPEG-4など,他の符号化方式にも転用できるという。ソフトウエアによるリアルタイム符号化処理を実現したことで,ハードウエアに比べて開発期間を約1/2~1/4に短縮できるとする。開発のポイントとなったのは,リアルタイムで符号化するためのCPUボード間の連携である。本稿では,ソフトウエアによるリアルタイム符号化を実現した技術の詳細と,今後の応用展開について,解説してもらう。(伊藤 大貴=本誌)

内藤 整
KDDI研究所 映像通信グループ 主査

 我々は画素数が4096×2160の,いわゆる4K×2Kの高精細映像を40Mビット/秒でリアルタイム符号化処理できるシステムをソフトウエアで実現した。開発したシステムは9枚のCPUボードをポイント・ツー・ポイントで相互接続するクラスタ構成を採る。システムの開発に当たって,符号化処理中に各ノードが連携して演算量を低減する仕組みを構築した。