2006年7月24日,米Advanced Micro Devices,Inc.(AMD社)はカナダATI Technologies,Inc.の買収を発表した。ATI Technologies社は米NVIDIA Corp.と双璧を成すグラフィックスLSIやパソコン向けチップセットの大手メーカー。パソコンだけでなく米Microsoft Corp.のゲーム機「Xbox 360」などにもグラフィックスLSIを提供している。AMD社は「これでマイクロプロセサ,チップセット,グラフィックスLSIの各事業が一つ屋根の下にまとまった。単に2社が協力するよりずっと効率的に開発が進む」と利点を説明する。同社はこれを機に,ゲーム機やデジタル・テレビなどの家電向けマイクロプロセサ市場にも参入するという。

 今回の買収劇の背景には,最近のAMD社の好調な業績がある。これまで圧倒的シェアを誇っていた米Intel Corp.に対し,一部製品群では市場シェアで逆転するケースが出てきた。

 例えば,米国の量販店ではAMD製マイクロプロセサを搭載したデスクトップ・パソコンの数量ベースの市場シェアが,2005年秋に初めてIntel社を抜いた。その後AMD社は,2006年上半期中,7割超の市場シェアを維持している。