日経ものづくり アイデアコーナー

フィルタのクリーニング機構 【東芝コンシューママーケティング】

持ち運び用ハンドルの動きをツメに伝える

 遠心分離方式(サイクロン方式)の掃除機には,分離し切れなかった小さなゴミ(粉じん)をこし取るためのフィルタを配置するタイプが多い。目詰まりにより吸引力が低下するのを防ぐには,定期的にフィルタ表面に付着した粉じんを取り除く作業が必要だ。
 ブラシなどで表面をこすれば粉じんを除去できるが,粉じんが付着した面を外部に露出させることは粉じんの飛散を招くし,利用者の手も汚れる。掃除機からダストカップ(集じん室)を取り出し,さらにフィルタを取り外す手間もかかる。
 そこで東芝コンシューママーケティングは,本体に取り付けた持ち運び用のハンドルを上下動させることでフィルタを清掃する「フィルターお手入れハンドル」を搭載したサイクロン式掃除機を開発した(図)。ハンドルを上下動させると,フィルタの裏側に組み込んだクリーニング(清掃)機構が動作する仕組みだ。

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図●「フィルタお手入れハンドル」を搭載したサイクロン式掃除機
持ち運び時につかむハンドルを上下に動かすことで,フィルタに付着した粉じんを落とすクリーニング機構が動作する。


水のタンクをなくしたヘアドライヤー 【松下電工】

空気中の水分を結露させて供給

 ヘアドライヤー「EH5441」は,マイナスイオンを含んだ直径18nmほどの微細な水滴「nanoeイオン」を噴霧する装置を搭載する(図)。この水滴の生成に必要な水分を供給するに当たって,電極部をペルチェ素子で冷却することによって空気中の水分を結露させる仕組みを取り入れた。これにより従来製品に搭載していた容量4cc程度の水供給タンクが要らなくなり,2週間に1度ほど必要だったタンクへの水の補充の手間が省ける。
 nanoeイオンは,水に高電圧をかけることによって生成するもので,弱酸性のため,アルカリ性の傷んだ髪を修復する機能があるとされるほか,皮脂の親水性を高めて洗髪時に汚れを流しやすくする,水分量を整えて乾いた髪の潤いを増す,といった効果が期待されている。
 EH5441は,本体上部にnanoeイオンの発生装置を設けた。送風部は2重円筒の構造とし,中心部から温風を,外周部から冷風を送出する(ツインフロー)。この外周部からの冷風に乗せてnanoeイオンを送り出すことで,温風で水分が蒸発するのを防いでいる。

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図●松下電工が開発したヘアドライヤー「EH5441」
髪を補修する効果があるとされる「nanoeイオン」発生装置を搭載する。販売は松下電器産業。