白色発光ダイオード(LED)市場は,携帯電話機に搭載する液晶パネルのバックライト光源向けを中心に,着実に拡大してきた。今後はいよいよ黎明期から成長期に入る。具体的には,ノート・パソコンや液晶モニターといった大型液晶パネルのバックライト光源や,ヘッドランプなどの車載機器,家庭やオフィスでの照明機器といった多種多様な用途が見込まれている。ただし,成長期を目前に,携帯電話機市場の成長鈍化を受けて直近の白色LED市場は伸び悩んでいる。携帯電話機向けに続く白色LED市場がそれぞれ,まだ脆弱だからだ。白色LEDの用途が広がり,再び市場が成長していくには,機器メーカーなど白色LEDの使い手側とLEDメーカーの連携も必要になってくる。野村総合研究所のコンサルタントである前原孝章氏が,今後の白色LED市場動向と市場拡大に向けた課題,解決方法を解説する。(大久保 聡=本誌)

前原 孝章
野村総合研究所
情報・通信コンサルティング二部 副主任コンサルタント


 白色発光ダイオード(LED)市場は,これまで市場拡大を担っていた携帯電話機向けが頭打ち気味になり,現在は踊り場にある。しかし,急速な技術進展によって白色LEDは今後も進化し,用途を広げながら市場はどんどん拡大していくと考えている。これからのLED市場では,用途の先行開発で競争優位性を築くことが重要となる。