情報更新ができるカーナビを実現するために,情報センターを別会社として立ち上げる計画を練っていた開発チーム。ところが,ホンダの役員からは「まずはホンダだけで試験的にやりなさい」と言われてしまう。意気消沈する開発チームだったが,その役員はきちんと道をつくってくれた。ホンダの子会社で用品関連を取り扱うホンダ アクセスとともに,情報センターを開設する運びとなった。

 こうして1997年1月にはホンダ アクセスに「ナビシステム部」を設置し,ホンダと本田技術研究所,ホンダ アクセスの部門間プロジェクトとして,情報配信が可能なカーナビの実用化に向けた取り組みが始まった。部門間プロジェクトとなったことで,今井武や沢田秀司,後藤紳一郎,養父利秀だけでなく,各部署からプロジェクトへ参加する人材も増えた。本田技術研究所からネットワーク関連の開発に携わっていた村田聡が,ホンダからは広報宣伝の部署にいた山田清実や,1996年にホンダの公式サイトの立ち上げに携わっていた平井精明などが新たにメンバーとして加わった。