ソニー,松下電器産業など大手家電メーカーがスクラムを組んで推進するDRM規格である「Marlin」の実用化に向けた準備が,急ピッチで進められている。

 仕様の検討などを進める米Marlin Developer Community(MDC)は2006年5月,放送および,ブロードバンドによる配信型のコンテンツ配信を対象にしたDRM技術の仕様を公開した。さらに,このDRM規格を主導する米Intertrust Technologies Corp.が同年6月に説明会を米国で開催した。暗号鍵の管理やライセンス・プログラムの策定および発行など,DRMの運用に欠かせない役割を担う団体「Marlin Trust Management Organization(MTMO)」を2006年9月までに設立する計画である。

 Marlinは,ブロードバンドか放送かといった配信手段の手法を問わず,入手したコンテンツはDRMで記述された再生条件に従う形で,異なる端末間で交換して楽しめるようにしようというもの。米Coral Consortium Corp.が策定する「Coral」を組み合わせるなどして,異なるDRM規格との互換性の確保も目指している。2006年7月にはパソコンへの実装を目指してWindows OS対応のSDK(software development kit)をIntertrust社が出荷する。組み込み機器に向けた複数のプラットフォーム向けの開発も進めている。2006年6月の説明会では,PSPで動作するMarlinのデモを実演した。「2006年中にMarlin規格対応のAV機器が登場する」(MDC)という。