NTT物性科学基礎研究所は,AlN(窒化アルミニウム)結晶を半導体として用いた発光ダイオード(LED)を作製し,波長210nmと短波長での発光を確認した。発光出力は0.02μW,外部量子効率は10-6%と小さく,LEDとしての実用化には「少なくとも6ケタ足りない」(同研究所 機能物質科学研究部 薄膜材料研究グループの谷保芳孝氏)。それでも今後,結晶欠陥の低減などで出力や効率を大幅に高める方向性は見えているという。

 出力が実用水準に高まれば,今回のLEDはさまざまな用途を生みそうだ。波長の短い光には,有機物の分解から高密度の光ディスクまで幅広い用途があり得る。今回の発表のインパクトは,それだけではない。AlNを半導体として使って実用水準のLEDを作製できれば,これまで特定の値のバンドギャップに縛られていたLEDやレーザ素子の発光波長を可変にできる可能性が見えてくる。