「非常に驚いた。がっかりしている」(NEC)――。情報通信技術の総合展示会「Interop Tokyo 2006」に高速電力線搬送データ通信(PLC:powerline communication)モデムを出展したベンダー各社は失望を隠さない。ほぼ決着がついたと思われていたPLCモデムのコモンモード電流に関する許容値を10dBも下げることが直前の2006年6月5日に決まったからだ。

 元の許容値案「30dBμA以下」は,総務省の「高速電力線搬送通信に関する研究会」が2005年12月に取りまとめた。ところが,この研究会は「あくまで総務省の非公式な会議」(総務省 電波環境課)であったため,情報通信審議会 情報通信技術分科会 CISPR委員会で許容値を再議論する必要があった。その結果,研究会案が見直され,15M~30MHzでのコモンモード電流の許容値を準ピーク時で20dBμA以下にすることが決まった。この提言は2006年6月29日の情報通信審議会で審議され,そこで答申を受ければ,同年秋ころに省令改正がなされる見通しだ。