「使える映像圧縮方法をすべて取り込んだ」「しばらくはこれを上回るものは現れない」——その圧縮率の高さから“マンモス・コーデック”の異名をとる映像符号化方式「MPEG-4 AVC/H.264」(以下H.264)。この方式を使ってHDTV映像を符号化できるLSI(H.264エンコーダLSI)が,2006年末から一斉に登場しそうだ。牽引役となるのが,HDTV映像を撮影できるビデオ・カメラである。(浅川 直輝)

 HDTV映像をリアルタイムで符号化できるLSIを,大手家電メーカーや半導体メーカーが競って開発している。いずれも,符号化方式として「MPEG-4 AVC/H.264」を用いている。2006年末~2007年春には,多彩なH.264エンコーダLSIが複数のメーカーから入手可能になりそうだ。

 H.264は,符号化に要する演算量がMPEG-2の6~10倍と高い。このためH.264エンコーダLSIの種類は,以前は極めて限られていた。転機の一つは,2004年から2005年にかけて「PSP」や「iPod」といった携帯機器がH.264を採用したこと。これをきっかけに,QVGA(320×240画素)~SDTV(最大720×576画素)の映像を符号化できるLSIが現在までに入手可能になった。