Webは家電を待っている

第1部<コミュニティーを活かす>
"目指すは機器の「ファンクラブ」
スピード優先の開発体制が必須に"

 家電メーカーが「Web家電」に本格的に取り組むための環境は整った。「Web 2.0」と総称される次世代Webサービスとうまく連携すれば,これまでの機器単体売りでは実現できなかった新たな付加価値を提供できる。機器のユーザーのコミュニティーを活用できることが最大の利点である。自社で閉じたWebサービスではなく,インターネット上のオープンな世界と連携した新たなWebサービスを生み出すことや,機器のソフトウエアを動的に差し替え可能にすることが成功の鍵になる。

第2部<こうすればつながる>
"デジタル機器が「Webレディ」に
鍵を握るGUI実行環境"

 WWWサーバーで提供するサービスと連携して価値を生む「Web家電」の開発に必要な要素を解説する。Web家電は,サーバー側に改良を加えることで,製品の出荷後も機能追加や性能向上を継続的に図れる可能性がある。だが,そのメリットを享受するためには,機器のGUIを実行するプログラムを動的に差し替え可能にする実行環境を用意する必要がある。またサーバー側と機器側の役割分担を適切に設計することも重要だ。

第3部<ここまで来た>
"「Web 2.0」に沸く欧米
部品に使えるサービスが続々"

 欧米では,検索エンジンを提供する大手企業や多くのベンチャー企業が,「Web 2.0」の特徴を持つサービスの提供を次々に始めている。コンテンツの推薦や作成に,多くのユーザーが所属するコミュニティーを利用するサービスが数多くある。いずれも,今後サービスのAPIを公開して,他社が利用できるようにする方向だ。このほかにも,通信機能や検索機能など,Webサービスに活用できる各種サービスのAPIを提供する企業が山ほどある。ほとんどはパソコン向けを想定したサービスだが,各社ともデジタル家電との連携を望んでいる。