シチズン時計は,強誘電性液晶を利用して,不揮発(メモリ)性を備える小型の液晶パネルを開発した。強誘電性液晶は一般に,高速応答性能や視野角の広さなどが特徴として知られており,これまでキヤノンをはじめとする多くのメーカーが,TN型液晶パネルなどに対する競合技術として開発に取り組んできた。しかし,液晶分子の配向が乱れやすいなど課題が多かったため,本格的な事業化の例はほとんどなかった。

 今回シチズン時計は,高速応答や階調表示などの性能は追わず,不揮発性を備える白黒表示の小型パネルの実現を目指した。強誘電性液晶は,(1)電圧を印加しないときのガラス基板付近の液晶分子の配向角を,電圧を印加した状態と同等に大きくする,(2)2枚のガラス基板間隔を狭くする,などの条件下で不揮発性を備えることが知られているという。