日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南

第5回
アセンブリ品の調達の肝
ノウハウで見積もりを追求

樹脂部品を含むアセンブリ品を提供すると言ってきた中国現地の樹脂部品メーカー。それを受け入れたところ,見積もりはいいかげんで,生産現場には基本的な工具すらない始末。だが,逆手に取れば大きなコストメリットが得られる。(本誌)

遠藤 健治 海外進出コンサルタント


 単体の樹脂部品に限らず,最近は,樹脂部品に回路基板や端子など,ほかの幾つかの部品を組み合わせた簡単なアセンブリ品(以下,樹脂部品を含むアセンブリ品)を中国から低コストで調達しようとする日本メーカーが増えています。買い手である日本メーカーにとっては,複数の部品を一つのアセンブリ品としてまとめて低コストで入手できるなら,それに越したことはありません。
 ところが,単体の樹脂部品だけでも中国メーカーから低コストで調達することは簡単ではありません。そのメーカーが工場でそろえている設備や,実施している管理体制,管理者の能力など諸々の要素によって樹脂部品のコストは大きく変化するからです。
 これが樹脂部品を含むアセンブリ品になると,さらにコスト構成が複雑になります。低コストで品質がしっかりしたものを造ったり調達したりするには,造り手側も買い手側も,こうした複雑なコスト構成を把握し,できる限り正確なコスト計算ができる必要があります。
 しかし,それができる造り手はあまり多くはないというのが実情です。特に,これまでは単体の樹脂部品だけを造っていたけれども,売り上げを伸ばそうとアセンブリ品にまで手を出したばかりのメーカーには要注意です。
 数年前,私が訪れた大阪のある樹脂部品メーカーA社もそうでした。この会社は日本市場での経営悪化から,中国市場への進出を決断しました。しかし,中国市場は日系メーカーだけでなく,台湾や韓国などの外資系メーカーに中国現地メーカーがひしめき合う大変競争の厳しい市場。そうした市場にA社が“丸腰”で飛び込むのはとても危険な賭けです。

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