セルベースLSIと呼ばれる従来方式に比べてASICの開発費を1/3~1/5,開発期間を1/2~1/4に低減できる――。こうした売り文句で,数年前に登場したストラクチャードASIC。その業界を激震が襲っている。きっかけは,NECエレクトロニクスや富士通,米Altera Corp.とともに大手ベンダーの一角を占めてきた米LSI Logic Corp.の方針転換である。2006年3月に,同社製ストラクチャードASIC「RapidChip」の新規開発を中止する計画を突如発表した。

 LSI Logic社の発表に対して「全くの寝耳に水。期待していただけにとても残念」(国内大手OA機器メーカー)と困惑の色を隠さないユーザーにさらなる追い打ちをかける事態が起こった。ストラクチャードASIC用の設計ツールで高い市場シェアを持つ米Synplicity,Inc.が,ストラクチャードASIC用の合成ツールからの撤退を2006年3月末に発表。LSI Logic社の発表からわずか数週間後のことである。