白物家電のインバータ回路に向けて,マイクロコントローラ並みの柔軟性とASIC並みの高性能を両立できるとうたうモータ制御ICが登場した。ソフトウエアを書き換える感覚で制御演算回路を再構成する技術に基づく。アンプや電源の領域にも,この技術を応用することを視野に入れる。(堀切 近史=本誌)

高橋 敏男
米International Rectifier Corp.
Energy Saving Product Business Unit
Digital Control IC & Intelligent Power Module Design Center
Executive Director of Engineering

 我々は,所望のアルゴリズムに基づく制御を実行するICを,短い開発期間で安価に実現する技術を開発した。この技術を応用した製品の第1弾として,エアコンのインバータ回路に向けたモータ制御IC「IRMCF312」を製品化する。正弦波センサレス・ベクトル制御といった高度な制御方式に対応したインバータ回路を,マイクロコントローラとソフトウエアで実現する既存の構成に比べて,短期間で安価に実現できる。この技術の最大の特徴は,モータ制御を担う演算回路を,開発ツール上でGUI(graphical user interface)を操作するだけで再構成できる点にある。