日経ものづくり 中国的低価格部品選定指南

第4回
樹脂部品の成形単価は安くない
節減の余地は金型コストにあり

中国から小ロットの樹脂部品を低コストに調達する場合,材料のコストを抑えるようにすると,品質に問題が生じるリスクがある。中国では大きな機械が多く設備使用料も高い。それでも,低コストで安定して調達する方法はある。(本誌)

遠藤 健治 海外進出コンサルタント


 日本メーカーが中国から調達しようとする部品の中で,最も需要が多いのは,射出成形で造る樹脂部品ではないでしょうか。
 それを裏付けるかのように,中国の工場街を歩くと「塑料」という字を多く見掛けます。これは樹脂を表す文字です。最近では,中国各地で樹脂材料を専門に扱う「批発市場」という市場を多く見掛けます。批発とは「ロットで売る」という意味。つまり,卸のようなところがたくさん集まった市場なのですが,これがまた大変にぎわっているのです。中国において樹脂部品の需要がいかに高いかが分かるでしょう。
 ただし,中国の樹脂部品はまさに“玉石混交”。安くて高品質な樹脂部品を入手するには,しかるべき方法を身に付ける必要があります。

紹介者を頼ってリスクを軽減
 つい最近のことです。私はコスト削減のために,自分で設計した樹脂部品を中国で造る必要に迫られました。具体的には,小ロットの電子部品用の小さな筐体です。そのために,まずは金型メーカーを探さなければなりません。中国で業者を探すときに一番簡単なのは,知り合いの「つて」を頼ることです。今回,私はつてのある次の三つのルートを使って,その中から最も適した業者を探すことにしました。(1)日本の商社の香港支店(2)台湾系メーカー(3)中国現地メーカー─です。

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