日経オートモーティブ 連載

部品メーカーの中国進出・第2回

中国テイストと
コストで勝ち残る

急激な成長に伴い、競争も激化する中国自動車市場。完成車メーカーの戦略は、自動車部品メーカーのビジネスの成否を大きく左右する。今回は、中国自動車市場において自動車部品メーカーが採るべき戦略を探る。

住商アビーム自動車総合研究所
ストラテジスト 製造・技術統括
本條 聡


 中国の自動車市場の著しい成長を背景に、国内外の完成車メーカーは、現地でのシェア確保を目指して熾烈な競争を繰り広げている。日本系完成車メーカーの中国市場への参入に伴い、多くの日本系部品メーカーも中国に進出してきたが、絶えず変化する完成車メーカーの事業環境や競争ポジションによって調達戦略が変化し、部品メーカーの事業戦略も修正を余儀なくされるケースが少なくない。
 前回は、中国自動車産業の現状や主要自動車メーカーの調達方針について分析し、日本系部品メーカーに求められる機能や戦略の方向性について提案した。後半となる今回は、中国の自動車ユーザーの志向や日本系完成車メーカーの期待、中国の部品メーカーの現状を交えながら、実際に中国市場に進出する上で有効な戦略を提案する。

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図●日中韓ユーザーの違い
(a)日本では買い替えが大部分なのに対し、中国では新規購入が多い。(b)日本ではほとんどがAT(自動変速機)車なのに対し、中国ではほとんどがMT(手動変速機)車。(c)日本ではほとんどな私的な使用目的なのに対し、中国では1/3が仕事と回答。(d)日本では半数が週1~3回以下なのに対し、中国では大半の車両がほとんど毎日使われている。