高速LSI向けに豊富な適用実績を持つパッケージ構造であるフリップチップBGA(FC-BGA)。高速なデータ転送や多端子チップの内蔵が可能で,放熱性に優れるという特徴がある。これらの利点を損なわずに,FC-BGAに複数のチップを内蔵する技術をルネサス テクノロジが開発した。64Mビット程度以上の大容量DRAMと論理LSIなどを内蔵したSiP(system in package)を,DRAM混載LSIに比べて低コストで実現することを狙う。大画面の薄型テレビやルータ,スイッチといった,高性能デジタル民生機器や高速通信機器に向けて,2006年第4四半期ごろの実用化を目指す。

 FC-BGAは回路面を下向きにしたチップとインターポーザを多数の微小バンプでフリップチップ接続する。インターポーザとチップ間の配線距離が短い上,多点接続できるため,LSIのデータ転送速度を高めやすい。ただし,FC-BGAに論理LSIとDRAMなど複数のチップを積層して内蔵しようとした場合,従来は内蔵チップ間を高速に通信させることが難しかった。積層した下側のチップの回路面が下を向いているため,上側のチップと接続するためには上側のチップの回路面を上向きにして,ワイヤ・ボンディングによりインターポーザを介して下側のチップの回路面とつなぐ必要があったからである。