「売り切りが前提となる家電メーカーの製品では,とてもまねできない価格ではないだろうか」(ジュピターテレコム 技術開発部長のト原辰也氏)。国内最大手のMSO(multiple system operator:複数のケーブルテレビ局を統括運用する事業者)であるジュピターテレコムは,ハード・ディスク装置(HDD)を内蔵したセットトップ・ボックス(STB)「JC-5000」を,月額840円で提供するサービス「HDR」を始める。

 サービス開始は,サッカーの「FIFAワールドカップ2006」の開催に間に合うように2006年4月15日とした。海外では例があるものの,日本でケーブルテレビ事業者がHDD内蔵STBを提供するのは初めて。サービス開始に向けて,まずは数万台を用意する計画で,2006年度中に10万件の契約を見込んでいる。

 ジュピターテレコムは,JC-5000の製造コストを削減するために光ディスク装置やHDMI端子を省いたが,一部の家電メーカーしか対応できていないハイビジョン番組の2番組同時録画を実現している。HDDの記録容量は250Gバイトで,追っかけ再生やキーワード検索などHDD録画機としての基本機能は備える。日本メーカーが販売するデジタル放送対応のHDD内蔵DVDレコーダが10万円前後であるのに対し,HDRサービスは年間1万円程度で利用でき,割安感は際立っている。