Linuxやデータベース「MySQL」といったオープンソース・ソフトウエアの普及を支えてきたライセンス方式である「GNU General Public License」(以下,GPL)が15年ぶりに改定される。GPLの策定で中心的な役割を果たす米Free Software Foundation(FSF)は,2006年1月16日に新版に当たる「GPL Version 3」(GPLv3)の草案を公開し,正式版の策定作業を開始した。正式版の発行は遅くとも2007年3月を予定する。これに向けてFSFはソフトウエア開発者などから広く意見を求めるために, GPLv3について話し合う会議を世界各地で開くことを予定している。コメントを書き込めるWWWサイトも用意した。

 FSFが公開したのはあくまで草案で,このままGPLv3の正式版になるわけではない。それでも草案の内容は,ソフトウエア業界に大きな反響を呼んだ。デジタル著作権の保護を目的に普及が進むDRM(digital rights management)技術への対抗を示した条項や,GPLの運用上これまであいまいだったソフトウエア特許の扱いについて特許権者に無償ライセンスを求める条項などが盛り込まれていたためである。これらの条項は特に,GPL準拠のソフトウエアを自社製品に利用している企業にとって懸念材料になる。