第1部<次なる競いどころ>
化石燃料の代替を視野に
原動力は国策と競争激化

 装置価格が高い,エネルギー変換効率が悪い——。20年以上前に初めて製品が市場投入されて以来,長い間,鳴かず飛ばずの状態が続いてきた太陽電池に大きな転機が訪れている。ここにきて,特に欧州を中心に猛烈な勢いで売れ始めているのだ。需要に供給が全く追い付いていないという。 

第2部<波及効果を探る>
半導体とパネルの技術で
低コスト化や用途拡大へ

 急拡大する太陽電池市場の恩恵を受けるのは関連メーカーだけではない。現在,半導体や薄型パネルなどの開発や生産に携わっている技術者の活躍の場が広がる。これらの技術者の知恵を活用して,太陽電池メーカーは深刻化しているSi材料の不足に備える。Si材料を使用しない新型太陽電池の量産化や,結晶Si型太陽電池の効率向上などを加速させる。

第3部<なるか世代交代>
球状Siや非Si系が参入
決戦開始は2007年

 「2007年に大競争時代が始まる」(京セラ ソーラーエネルギー事業本部 マーケティング推進部 責任者の東洋一氏)——。太陽電池の需要拡大と,それによって引き起こされたSi材料不足が,太陽電池の新しい技術の萌芽(ほうが)を促進し始めた。太陽電池の品種別シェアは,ここしばらく多結晶Si型太陽電池が6割,単結晶Si型太陽電池が3割となっている。この2品種だけで9割を占めており,それらに続く薄膜Si型太陽電池は,わずか5%にすぎない。