日経ものづくり 材料力学マンダラ

第15巻
複数の材料から成る梁の曲げ応力

広島大学大学院教授 沢 俊行


●軽量化する上で,異種材料を積層する手法は有効
●断面形状が異なる単一材料の梁と等価的に置換
●応力の計算では,縦弾性係数の比がポイントに


 二つ以上の材料から成る梁を「積層梁」と呼びます。例えば,プラスチックに鋼の板を張り合わせたようなものがそれ(図)。単一材料から成る「一体梁」と比較して軽量化に優れるといったメリットがあることから,実際の設計の場面では頻繁に登場する材料といえます。
 今回のテーマは,こうした積層梁に曲げモーメントMが作用したときの曲げ応力の計算です。ポイントは,積層梁を構成する材料の縦弾性係数の違いに着目し,一体梁に置き換える点。その際,断面形状が変化することに注意してください。今回はまず,このことを理論的に確かめることから始めましょう。

日経ものづくり 材料力学マンダラ
図●曲げ応力が作用する積層梁
(a)曲率ρはすべての部分で同じ。(b)断面。(c)変換断面。鋼板を基準としたためにプラスチック側の幅が短くなる。