日経ものづくり 開発の鉄人

第22回 稼ぐ工作機械博物館へようこそ

「開発の鉄人」こと 多喜 義彦

超大型の機械を精度良く造るには,
超大型のマザーマシンが要る。
そのマシンを持っているメーカーが減ってきた。
軽薄短小化で巨大な機械の需要が減ったことが大きい。
NC化で,多少の狂いには何とか
対処できるようになったこともある。
だから,巨大な工作機械を持っていれば,
それだけで一つの競争力になる。
そうした機械を集め,商売につなげている会社が,
能登半島にあった。


 能登半島で“お宝”を見つけた。工作機械という意味でも,人材という意味でもね。
 最近知り合った若い経営者がいる。金沢に講演に行ったら,妙に突っ掛かった質問をするんだ。「生意気なやつだな」って,気に入っちゃった。

プレーナ収集家に出会った
 日高グループを率いる専務の日高明広さん。これが面白い人でね,彼の工場に行ったらびっくりしたよ。大変な機械をそろえてるんだ。加工範囲が1300×8000mmある独BEHRINGER社のプレーナ(平削り盤,図)。あと,新潟鉄工所でマザーマシンとして使っていたプレーナもある。これは加工範囲が3000×1万4000mm。
 特にプレーナにはこだわりがあるようだ。今のマシニングセンタより平面度は出るし,仕上がりもきれいだ。マシニングだとどうしてもカッタマークが出るけど,これなら見事な表面に仕上がる。生産性が低いし,汎用性でも負けるからマシニングに追い込まれてるけど,究極の面を出そうと思えばプレーナの方が上だ。安く手に入れて土地代の安いところに置くんだから,生産性の方は何とかなる。
 プレーナばかりではない。加工範囲が2060×6000mmで,対角線上で1000分の2とか3とかいう精度を持つベッド研磨盤や,同じく2000×8000mmあるクボタのプラノミラーも持っている。いや,昔だから久保田鉄工,時代によっては久保田鉄工所のプラノミラーかな。

日経ものづくり 開発の鉄人
図●独BEHRINGER社のプレーナ