第1部<総論>
高精細な映像で驚かした
次は臨場感ある音で驚かす

 「高音質オーディオを取り戻す――」。音響関連の技術者はテレビの薄型化に伴う再生音の劣化や 圧縮によって音質が劣化した音楽ファイルのはんらんに業を煮やす。目指すは「原音」。大自然やコンサート・ホールなどで体験した感動をリビング・ルームやヘッドホンで再現することを狙う。

第2部<高音質編>
細かな工夫を積み重ね
メーカー独自の音作り

 臨場感を高めるための取り組みは大きく2つに分類できる。「高音質」と「マルチチャネルによるサラウンド」である。高音質化については,信号処理やアンプ,電源回路など音楽の再生フローの全般を見直し劣化要因を一つ一つ取り除く作業が不可欠となる。細かな工夫の積み重ねがそのメーカー独特の音質を作る。

第3部<空間編>
テレビやケータイで
もっと手軽に臨場感

 視聴者の前面に置いたスピーカあるいはヘッドホンを使って手軽にサラウンド再生するときの課題は3つある。人間が音を聞いたときに違和感を抱かせないようにする視聴の課題,サラウンド効果を得られる視聴領域を拡大する環境の課題,少ない処理量,最小限のコストで機器に組み込む実装の課題,である。これらの解決に向け,頭部伝達関数を使いこなす手法に期待が集まる。壁からの反射音を使って背面スピーカを代替する手法もある。