次世代高速無線LANとして期待を集める「IEEE802.11n」の仕様が,早ければ年内にも確定する見通しになった。仕様策定を進めていたIEEE802.11委員会 TGn部会が2006年1月中旬,複数あった伝送方式の技術提案を一本化することに成功したからである。これにより,2006年3月ころにドラフト仕様案が固まる。それを見越して既に米Broadcom Corp.や米Atheros Communications,Inc.が「ドラフト準拠」をうたうチップセットのサンプル出荷を発表し始めている。いよいよ「802.11n」関連のビジネスがスタートを切った。

 提案方式の一本化までには,紆余曲折があった。多くの家電メーカーが集まる「TGnSync」や半導体メーカーが中心になった「WWiSE」といった複数の業界団体が作業部会内部で対立し,勢力拡大に向けた熾烈な争いを進めていた。しかし「少しでも早く仕様をまとめ,対応チップを出荷したい」という半導体メーカーなどの意向が強く働き,ぎりぎりのところで妥協点を見いだした。