携帯電話や無線LAN,デジタル・テレビの受信機能など,携帯機器にさまざまな無線機能が搭載されるようになる中,「自家中毒」と呼ばれる現象に関心が集まり始めている。機器の内部で発生した微弱な電磁雑音が,無線の受信感度を低下させるというものである。機器の小型化や多機能化が進むにつれ,今後さらに影響が大きくなる可能性が高い。太陽誘電はこの現象を引き起こす微弱な電磁雑音を定量的に評価できる,APD(amplitude probability distribution)の測定法を開発した。実際に,携帯電話機のビット誤り率を低下させる電磁雑音を把握できることを確認した。この測定法は,自家中毒にかかわるEMC対策に必要な情報を得る有力な手段になる確証も得た。これまでは「トライ・アンド・エラー」により対策してきたが,より戦略的に方策を講じることができるようになる。 (堀切 近史=本誌)

風間 智
堀 圭吾
蔦ヶ谷 洋
太陽誘電 商品開発本部 総合研究所 高周波技術部