日経ものづくり 材料力学マンダラ

第14巻
実践で遭遇する危険速度を解く

広島大学大学院教授 沢 俊行


●危険速度は結局たわみを求める問題にほかならない
●回転体が複数なら個々の作用点のたわみを計算する
●変断面の軸の場合には面積モーメント法を有効活用


 前回と同様,今回も共振を防ぐための危険速度の話ですが,より実践的な内容とします。一つは,軸に設置する回転体が複数の場合。もう一つは,軸の断面の径が変化する変断面の場合。どちらも,設計の現場では頻繁に目にしますので,きちんと押さえておきましょう。
 最初に,前回の簡単なおさらい。とはいえ,前回の内容をそのまま繰り返すのでは面白くありませんから,ちょっと別の角度から復習します。前回,危険速度ncは力の釣り合いから求めましたが,今回はエネルギ保存の法則から解いてみます。

日経ものづくり 材料力学マンダラ
図●回転体を複数設置した軸の危険速度
回転体を設置したところのたわみを一つずつ計算していく。