「しょせん,ようやくSDTV動画が撮れるオマケ機能——」。こう言われ続けてきたデジタル・カメラの動画撮影機能が,ついにHDTVの解像度に到達する。三洋電機が,720pのHDTV動画と504万画素の静止画を撮影できるデジタル・カメラ「DMX-HD1」を2006年2月に発売する。

 この機種以前に民生用のビデオ・カメラでHDTV動画を撮れる製品は3種類しかない。こうした発展途上の市場にいち早く切り込むことでシェア確保を目指す。最大の武器は,本体体積が200cm3と小さいこと。ヒット中の小型HDTV対応ビデオ・カメラ「HDR-HC1」(ソニー製)と比べても半分ほどである。超小型であっても光学系の仕様は,通常のビデオ・カメラに匹敵する。このため,「我が子のちょっとしたかわいいしぐさをさっと撮るといった用途では必要十分な製品」(写真家でジャーナストの山田久美夫氏)との評価を得ている。

 ファインダー用ディスプレイにアクティブ・マトリクス型有機ELパネルを使うことも特徴だ。自発光パネルなので,既存の液晶パネルが抱える応答速度の遅さや視野角の狭さといった課題と無縁である。これまで短いと懸念されていたパネル寿命は2万時間を確保した。携帯機器用途で量産のメドとされていた1万時間を大きく超えた。実売価格は,本体と合わせて容量2GバイトのSDメモリーカードを1枚買ったとき,安価な店舗で11万円ほど。発売から7カ月経過したソニーのHDR-HC1を安く買った場合とほぼ同じ価格である。