機器設計者が常に腐心するのが,古くて新しい課題の不要輻射雑音(EMI)対策である。基板レイアウトの段階からEMIの抑制を意識して設計するものの,試作機のEMIを測定すると基準値を超えてしまうことがある。しかも,機器の小型化,薄型化によりEMI対策用の部品を実装できるエリアは小さくなっている。こうした事情から,その薄さに注目が集まり近年EMI抑制シートの採用事例が増えている。しかし,筐体とプリント配線基板間のわずかなすき間を使っていたEMI抑制シートも,厚みが10μmをうかがうようになり,その効果も次第に頭打ちになってきた。本稿では従来のEMI抑制シートに対して,さらなる薄型化とEMI抑制効果が見込める技術として注目を集めているフェライト・メッキについて解説する。 (伊藤 大貴=本誌)

吉田 栄吉
近藤 幸一
小野 裕司
NECトーキン 研究開発本部