特定分野を手掛ける専門メーカーや,特定業務だけを請け負う専業メーカーが伸び続ける中,1社で多くの事業を手掛ける総合電機メーカーという企業形態はもはや存続が難しい。デジタル家電バブルの崩壊は,総合電機メーカーだけでなく国内の電機メーカー全体の体制を解体するだろう——。電機業界のアナリスト,若林秀樹氏は,証券アナリストとして最後に執筆したレポートで,こうしたメッセージを発した。国内総合電機メーカーは経営品質や世界シェア,営業利益率,研究開発に当たる人員数,知的財産権の活用法といった多くの点で,専業メーカーに後れを取っているという。これらの問題を解決するには,業界再編や事業モデルの見直しが有効としている。総合電機メーカーは激しい痛みを伴う改革になぜ乗り出すべきなのか,同氏が解説する。 (大槻 智洋=本誌)

若林 秀樹
前・みずほ証券 エクイティ調査部
チーフアナリスト