日経オートモーティブ 技術レポート

次世代MIVECエンジン
SOHCで連続可変バルタイ・リフト
シンプルな機構で小型化

 三菱自動車は第39回東京モーターショーに次世代MIVECエンジン(図)を展示した。「アウトランダー」用の2.4L直列4気筒エンジン「4B12」をベースに、SOHCながら吸気弁のバルブタイミングとリフト量を連続的に変え、エンジン単体での燃費を10%程度改善することを目指す。

 バルブタイミングとリフト量を連続的に変えられるのは、実用化しているエンジンではドイツBMW社の「ダブルVANOS+バルブトロニック」だけである。ホンダのVTECや三菱の現行MIVEC*は、タイミングとリフト量を段階的に切り替えるタイプである。
 ただし、BMW社の方式は構成部品が多い。ベーン式連続可変タイミング機構と、モータによりロッカアームの支点を変えるリフト可変機構の両方が必要で、しかもDOHCエンジンに限られていた。これに対し、三菱が開発中のエンジンは、吸気弁のみではあるがロッカアームの支点を動かすだけで連続的にタイミングとリフト量を変えられ、可変タイミング機構は不要だ。
 結果的に、出力と燃費を両立できるだけでなく、可変機構をコンパクトに収められ、衝突安全や歩行者保護のためにエンジンサイズを小型化したいというニーズにマッチする。実用化時期は未定としながらも、新エンジンは「次世代のベースエンジンとして幅広く活用することを狙っている」(三菱自動車技術開発センターエンジン設計部の村田真一氏)という。

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図●三菱自動車の次世代MIVECエンジン