半導体エネルギー研究所(SEL)とTDKは共同で,無線回路を搭載した曲げられる8ビット・マイコンを世界で初めて開発した。低温多結晶SiTFTで構成した回路を,プラスチック基板上に転置することで実現した。13.56MHz帯の周波数を使って外部とデータ信号をやりとりできる。回路を駆動する電力もこの無線信号から得るパッシブ型であり,電池を利用する必要がない。曲率半径10mm程度まで曲げても良好に動作するという。

 SELとTDKは用途として,「Suica」のような13.56MHz帯を使う非接触ICカードや,偽造防止機能を搭載した契約書など重要文書を想定する。試作品は,非接触ICカードの認証に用いる一連の動作を実行可能である。具体的には,3.39MHz動作の8ビット・マイコンを使い,外部から受け取った暗号データを解読して外部に送り返せる。外部とのデータ送受信に,集積した無線回路を使う。