最先端の半導体回路技術が発表される「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference) 2006」が,2006年2月5日~9日に米国サンフランシスコで開催される。前回のISSCC 2005はソニー・グループなどが開発した「Cell」で沸いたが,今回は5年~10年後を見据えた将来技術に注目が集まりそうだ。有線通信やマイクロプロセサなど多くの既存分野では技術の成熟度が上がり,大規模な開発体制を必要とする最先端技術に投資できる企業が限られてきた。そこで多くの技術者の関心が,有機エレクトロニクスやバイオ技術など新分野に向かっていることが背景にありそうだ。

 今回で53回を数える半導体回路技術の国際学会「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)2006」。投稿論文の件数は年々増える傾向にあり,前回の578本から680本と急増した。これに伴い論文採択率は下がり,今回の採択率は37.5%と前回の40.3%に比べて下がり,一段と狭き門になっている。

 厳しくなっているのは,採択率だけではない。プロセス技術の微細化など技術の成熟度が高まるにつれ,最先端技術の開発についていける体力を持った企業や研究機関が限られるようになっている。アジア地区の技術者で構成するISSCC極東委員の1人である富士通研究所・システムLSI開発研究所の田村泰孝氏は「高度な技術を開発するための投資に見合った成果が得られにくくなっている」と開発現場の事情を解説する。