無線LAN技術の国際標準化を主導するIEEE802委員会の作業部会の1つで,移動体も含めた高速大容量の無線インターネット規格作りを目指す「IEEE802.20」(通称:MBWA(Mobile Broadband Wireless Access))の参加者が急増している。2005年11月にカナダ・バンクーバーで開催した同部会の会合で,普段は50人弱が参加する作業部会に,200人近い参加者がドッと押し寄せた。「あの時はとても緊迫した会議となった。いつもはもっと少ない人数で,のんびりとやっているのに…」(ある通信事業者の技術者)。

 802.20部会にがぜん注目が集まった背景には,米QUALCOMM Inc.の動きが大きく影響している。前回会合(2005年9月の米ガーデングローブ会合)で同社などの賛成多数により,「次回の11月会合で技術提案を持ち寄る」ことが可決された。それまでの活動は比較的ゆっくりと進んでおり,こうした重要な意思決定がなされるのは,かなり先のこととみられていた。