2005年11月16日,米Sony BMG Music Entertainment社は不正コピー防止ソフトウエア「XCP」を含んだ同社の音楽CDを購入者から回収し,XCPを含まない音楽CDに交換すると発表した。同時にXCPを含む音楽CDの製造中止と,販売店からの回収も決めた。国内でもソニー・ミュージックジャパンインターナショナルが,輸入販売したSony BMG社のXCPを含む音楽CDを回収し,交換することを発表している。ソニー・グループがこうした対応に追われたのは,XCPが一般に「rootkit」と呼ばれる悪質なソフトウエアと同様の手口を使っていると指摘されたためである。

 rootkitは,一度侵入したシステムに対して,その後システムを悪用しやすいように改変するためのツール群の総称である。UNIX系OSの管理者権限を示す「root」が語源となっている。rootkitには厳密な定義は存在しないが,攻撃者がいつでも侵入できるようにする裏口(バックドア)を設置する,自らの存在を隠ぺいするためにOSのシステム・コールを横取りして特定のファイルを表示させないようにするといった機能を備えるものが多い。