George Lucasと米Lucasfilm Ltd. は,ソニーと米Panavision Inc.が試作したデジタルHDビデオ・カメラ「HDW-F900」のみに頼って,「エピソード2」の全編を撮影するという,大きな賭けに出た。2000年9月に撮影の最初の段階は終了する。生身の俳優と現実のセットを使った収録を,彼らは無事に乗り切った。その後に続くのは,爆発シーンやスペースシップの模型の撮影,映像の合成や編集などのポスト・プロダクション工程である。ここで彼らは,F900に内在した技術の限界によって,若干の軌道修正を迫られた。

Fujinon’s Light Touch

 この段階での作業を主に担当するのが,Lucasfilm社傘下の米Industrial Light & Magic社である。同社でDigital HD Supervisorを担当するFred Meyersは,この工程を「ILM work」と呼ぶ。

 ILM社がまず目をつけたのは,F900用のレンズだった。ILM workが始まる前,俳優やセットが登場するシーンの収録には,Panavision社が開発したレンズを用いた。「このレンズは当初の撮影には良かったけど,模型を撮影するには大きく重たすぎた」(Fred)。