1954年にわずか17台の乗用車を東京・日比谷公園に展示して始まった東京モーターショー。それから半世紀がたった「第39回東京モーターショー」には,239社と5政府,1団体が出品し,世界初披露となる車両が79台も出展される世界的なショーに成長した。今回のモーターショーで特に目を引いたのが,油圧装置などで機械的につながっていたブレーキやステアリングを電気的な信号のやりとりで操作するX-by-wire技術を採用した試作車と,燃料電池車や電気自動車,ハイブリッド車といったパワー・トレーンを電動化した車両の展示が急増したことだ。自動車メーカーにとってクルマの電子化はもはや当たり前のこととして溶け込んでいるようだ。

 X-by-wire技術では特に,ステアリングの操舵角に応じてタイヤの切れ角をモータで制御するsteer-by-wireのシステムを採用した試作車がトヨタ自動車や日産自動車,スズキ,富士重工業などから相次いだ。パワー・トレーンの電動化については,2015年までに一般販売を目指す次世代燃料電池車や2010年に発売を目指す電気自動車,発売間近のハイブリッド車などの展示が相次いだ。

 車載部品で目立っていたのが,運転者を認識するための検知システムである。カメラを使って運転者の挙動を検出するシステムや,ドア・ハンドルに静脈認証装置を設置したシステムの展示があった。このほか,高級車を中心に採用が進むミリ波レーダやカメラ・システムの小型化を図った試作品,地上デジタル・テレビ放送向け車載チューナ,早ければ2007年に実用化する白色発光ダイオード(LED)を使ったヘッドランプが注目を浴びていた。