2006年春に,55インチ型のSEDパネルを搭載した薄型テレビがキヤノンと東芝から発売される。SEDパネルは,電子放出源を平面に多数並べ,そこから放出された電子が蛍光体に衝突して発光する。こうした発光原理のディスプレイは,一般にFEDパネルと称され,異なる電子放出源の方式が幾つか提案されている。例えば1990年以前には,多くのメーカーが「スピント型」と呼ぶ電子放出源の開発を進めていた。最近では,カーボン・ナノチューブを利用した電子放出源の研究開発が各所で盛んになっている。こうした中,キヤノン・東芝連合のみが開発を進めてきた独自方式である「表面伝導(SCE)型」と呼ぶ電子放出源が,いよいよ先陣を切って実用になる。