日経ものづくり キラリ輝く中小企業

TENPAKU・R

樹脂試作のTENPAKU・R
開発者の構想を形で表す

 TENPAKU・Rは,自動車,家電業界を中心に常時100社以上の得意先を持つプラスチック試作加工会社。2004年11月にそれまでの「天白試作」から社名変更した。TENPAKU(天白)の後のRは,企業理念の中にあるRISE(上昇),RING(輪),RENDER(表現)の頭文字から取ったものである。
 試作会社の多くは,顧客から入手した図面に従って物を造る。これに対し,同社はものづくりの上流工程に入り込み,開発者の意思決定を支援する試作サービスを得意とする。
 かつては同社も普通の試作会社と同じように,図面を見ながら家電部品の小物などを造っていた。ところが8年ほど前,トヨタグループの開発部門に透明ランプの新しい製法を提案し,それが採用されたことが,ビジネスモデルを変えるきっかけとなった。光造形装置でマスタを造り,そこから真空注型でランプの試作品を造ったのである。

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●光造形技術で造ったマスタ(左)と,試作部品(中央と右)


日本電子工業

超音波加工の日本電子工業
装置にノウハウ付けて売る

 携帯電話機のノイズフィルタをはじめとするセラミックス部品や,シリコンプラズマ電極ガス孔などの半導体製造装置関連部品,さらには圧力センサの基板ガラスといった,特殊な加工分野で異彩を放つ中小企業がある。東京は品川に本社を置く日本電子工業だ。これらの部品に共通する特徴は,硬くてもろい難加工材であるという点。同社は,その難加工材に対し超音波加工と呼ぶ技術を駆使し,ユーザーの厳しい加工要求に応え,厚い信頼を獲得している。この分野における同社のシェアはおおよそ7~8割。圧倒的に高いこの数字が,その何よりの証拠だ。

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●超音波加工機による加工例
(a)シリコンプラズマ電極ガス孔。孔の数は1700個,径は0.8mm。4分割して加工する。(b)圧力センサのガラス基板。最小孔径は0.4mmで,同時加工した。