日経ものづくり 詳報

機器の小型化・多機能化に伴い
存在感を増す「世界最小」部品

「CEATEC」に見る電子部品・モジュールの進化

 映像・情報・通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2005」の主役は,2004年に引き続き,薄型テレビだった。一方で,技術者の熱い視線を集めていた“陰の主役”ともいうべきが,電子部品やモジュールである。
 注目を集めた展示の一つが,外形寸法や厚さで「世界最小」を謳うもの。機器メーカーは,小型化・薄型化や多機能化という点でしのぎを削っている。機能を増やせば,部品点数も増える。「小さい」または「薄い」ことが価値になる。だからこそ世界最小部品の存在が際立つ。

光学設計を突き詰める
 例えば京セラは,厚さが6.9mmの携帯電話機向けカメラモジュールを出展(図)。300万画素級で比べると「世界最小」(同社)という。CCD撮像素子の光学サイズは1/4型で,有効画素数は320万。モジュールの外形寸法は22×16×6.9mmだ。光学ズーム機能はないが,自動合焦機能がある。
 薄型化でネックとなるのは,撮像面に入射する光量の確保。光量は撮影性能に大きく影響する。そこで,3群3枚のレンズをすべて樹脂製非球面レンズとし,光量の確保とモジュールの薄型化を両立した。
 さらに,プリント配線基板(PCB)には,撮像素子周辺を除いてすき間なく電子部品を実装しており,ムダな空間を極力省いている。
 モジュールを搭載した折り畳み型携帯電話機のモックアップも一緒に展示していた。折り畳み時の厚さは15mmで,現在市場に出回っている機種と比べても薄い方だ。「筐体と比べても薄いので,配置できる場所の自由度が高い」(同社の説明員)。

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図●厚さが「世界最小」の300万画素級カメラモジュール(京セラ)
主に光学系を見直すことで,厚さ6.9mmを達成した。