「まんべんなく、均等に食べる」

 草の生える時期には、餌は必要ないが、冬は、市販されている飼料を与えているという。発電所からクルマで10分ほどの場所に大分石油の営業拠点があり、そこの担当者が日課として、家畜の様子を確認するようにしている。その際に、冬場は、水に加え、餌も補給している。

 除草の効果は一目瞭然だ。雑草を野放しにしている近くの太陽光発電所内では、イネ科の細長い草の葉や、茎の太いキク科の雑草が数十cmまで伸び、突端などにつぼみや花、種をつけている(図4)。だが、「久兵衛2号発電所」では、背の高い草はまったく見られない(図5)。

図4●同じ塩田跡に建設した太陽光発電所のなかには草で覆われているサイトも(出所:日経BP)
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図5●「久兵衛2号発電所」には、背の高い草はほとんどない(出所:日経BP)
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 「新芽を好みますが、まんべんなく均等に食べています」。大分石油・新エネルギー部営業課の須賀祐弥課長代理は言う。ヤギやヒツジを活用した除草の試みでは、「草によって好き嫌いがある」との声もあるが、ヤギ、ヒツジ、エミューという3種類の家畜を使っていることが、背の高い草の食べ残しがないことにつながっているとみられる。

 大分石油では、「久兵衛1号」と「同2号」の他にも2カ所のメガソーラーを稼働済みで、小規模なものも含めると、全部で5.8MWの太陽光発電所を運営している。このなかで家畜を放牧しているのは、「久兵衛2号」だけで、ほかは人手で刈った後、枯草を「久兵衛2号」に運び込んで家畜に食べさせている。家畜をほかのサイトに移動させることも検討したが、足の早いエミューやヤギを捕まえることは容易でなく、ほかのサイトは地形的に完全にフェンスで囲っていない場合もあるなど、課題もあるため、刈った後に食べさせる形にした。

 それでも、「人手による除草は、刈った草の処理に経費や時間を費やすため、ほかで刈った草を食べてくれることは、たいへんありがたい」(須賀課長代理)と言う。