「スポーツと健康を考える」。こう題した特別企画が、2015年7月3日に開催された「超高齢化社会の未来を考えるヘルシーエイジング・イノベーションフォーラム」で実施された。同フォーラムは、「寿命革命」を目指す弘前COIプロジェクトの活動報告の一環として実施されたもの(関連記事1関連記事2)。

 この特別企画に登壇したのは、「NHKおかあさんといっしょ 10代目体操のおにいさん」として知られる佐藤弘道氏と、日本体育大学体育学部教授でアテネ五輪アーチェリー銀メダリストの山本博氏だ。

「親子体操」の科学的実証を紹介

 まず、2015年3月に弘前大学の大学院を修了したばかりの佐藤氏が登壇。弘前市で6カ月間実施した「親子体操」の科学的実証を紹介した。このテーマは佐藤氏の学位論文でもあったという。

親子体操教室主催(NHKおかあさんといっしょ 10代目体操のおにいさん) 佐藤弘道氏
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 現在、超高齢化対策などとともに国家的な最重要課題となっているのが「少子化対策」。少子化の問題には複数の原因や背景が存在するが、そのひとつに挙げられているのが「さまざまな社会環境による若い女性・母親の体力低下と子育てストレス」だ。佐藤氏は今回の実証で「親子体操はとくに母親を元気にする。これが将来の少子化対策に有効である」と実感したそうだ。

 親子体操は、親と子が一緒にコミュニケーションを取り、触れ合いながら基本的な体力要素(筋力、柔軟性、敏捷性、瞬発力、平衡性、筋持久力、全身持久力)をすべてを含む内容で、省スペース(畳1~2畳分)でも実施可能な運動のこと。今回の実証では、青森県弘前市の幼稚園に通う年中児童とその母親43組を対象とした。

 スケジュールとしては2014年9~10月に対象者の募集と説明会を開催し、第1回目の親子体操実施直前にあたる11月25~26日に体組成、体力、運動能力、血液、生化学検査、各種心理テストなどを測定。その後は親子体操を6カ月間にわたって生活の中に取り入れてもらい、期間終了直後に同様の測定を再度実施した。

 期間中における自宅での自主運動は、配布された教材から好きな運動を選び、個人の自由な頻度と内容で親子体操を実施。さらに、各親子には運動実施チェックシートを配布し、親子体操を実施した頻度を毎日記録してもらった。