「新薬の承認数は年々減少しており、大型新薬が出てこない状況にある。今後はより小さな市場を対象とした、患者個々人に合わせた治療薬が求められる。そこでは、画期的な新薬を低コストで開発できる手法が必要だ」――。

メディデータ・ソリューションズの西氏
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 臨床試験の計画・管理ソリューションを手掛ける米Medidata Solutions社の日本法人、メディデータ・ソリューションズの西基秀氏(R&D APAC バイスプレジデント)は、製薬業界の現状をこう話す。各社は従来に比べて大きなプレッシャーにさらされているという。同氏が挙げた理由は大きく三つある。

 第1に、慢性疾患に対する新薬が飽和状態にある。ブロックバスターと呼ばれる、製薬会社にとって継続的な収入源となる大型新薬が生まれにくくなっている。特許切れを迎える薬も多く、次世代薬の候補(パイプライン)も枯渇気味だ。

 第2に、国際共同治験や世界同時での薬事承認申請が増えるなど、臨床試験の複雑さが増している。これに伴い、臨床試験に要する時間やコストは増加傾向にある。

 第3に、薬の効果と安全性の証明や、患者組み入れなどの面から医薬品開発のハードルが上昇。開発の成功率は低下傾向にある。

 特に、近年増加しているバイオ医薬品の開発では、候補物質の「分子量が大きく製造工程にも時間がかかる。作用機序の解明も容易ではない」(西氏)といった難しさがある。こうした課題から、製薬企業にとって新薬開発のハードルは高まる一方だ。一般に、最近の新薬開発では10~18年といった年月と、200億~1000億円規模の開発費がかかるという。