これまで4回にわたって新しい製品安全規格「IEC 62368-1」の概要と旧規格からの移行スケジュールについて紹介してきました。最終回となる今回は、期限となる2019年6月までに、規格の移行を円滑に進めるための措置やTC108で継続して審議されている改訂内容などについてご紹介します。

スムーズな移行に向けて

 現在、新規格へスムーズに移行するために、[1]Interpretation panelの設置、[2]Part 2規格の発行、[3]部品相互受入、[4]Hybrid TRFという大きく4つの措置が取られています。具体的にはそれぞれ以下のようなものです。

[1]Interpretation panel
 どんな規格でもあり得ることですが、特に新規格の発行初期段階では多くの使用者が規格に精通するまでの間、疑問や解釈の相違が生じることが懸念されます。そこで、TC108ではこのような疑問などにタイムリーに対処することを目的として、各地域(北米、欧州、アジア)から公平に選ばれたTC108の専門家で構成される「Interpretation panel」と呼ぶ小委員会をTC108内に設置し、迅速な対応を実現するための運営方法などを検討しています。

[2]Part 2規格
 IEC 62368-1の要求事項それぞれの背景や意図、要求の元となった参照規格や原理などを解説したテクニカル・レポート 「Explanatory information related to IEC 62368-1」がIEC 62368のPart 2として既に発行されています。Part 1規格の理解や疑問が生じた際に役立ちます。